アガサ・クリスティーの作品は、長編、短編、その他含めて100冊以上あります。
どんな作品があるのか、大まかに知っておくと選ぶのに便利だと思います。 作品を8分類してわかりやすく、並べてみました。 また、一言紹介を付けています。参考にしてみてください。
アガサ・クリスティーとは
アガサ・クリスティーは、多くの方がご存じのとうり「ミステリーの女王」と呼ばれています。 映画でもTVドラマでもよく耳にしますよね。 日本でも、本屋さんに多くの作品がおかれています。あの赤い背表紙のやつです。
アガサ・クリスティーは、アガサ・メアリ・クラリッサ・ミラーとして1890年9月15日イギリスの南西トーキーという保養地で生まれました。
1920年『スタイルズ荘の怪事件』でデビューし、1973年の『運命の裏木戸』まで沢山の作品を残しました。
エルキュール・ポアロ、ミス・マープル、トミーとタペンス、ハーリー・クィン、パーカー・パィンという名探偵や独特なキャラクターを生み出しました。
ノンキャラクター作品も多数あり、有名な『そして誰もいなくなった』など傑作も揃っています。 小説だけではなく、戯曲も書いたり、メアリ・ウエストマコツトとして、ミステリーではない、作品も残しています。
長編ー68冊 (ハヤカワ文庫参照) メアリ・ウエストマコツトものー6冊 (ハヤカワ文庫参照) 短編ー14冊(短編集としてまとめられている、ハヤカワ文庫を数えています。) 戯曲ー9冊(本にまとめられて出版され、手に取ることができるもの) その他にも自伝及び回顧録、詩編もあります。
ご注意 作品数は、ほぼハヤカワ文庫の出版されたものを参考にしています。 戯曲のみ(光文社文庫、新水社参考)
知っておくと便利! 作品8分類
キャラクター長編 ポアロ(分類1)
ポアロシリーズ 34冊 プラス1冊 (ハヤカワ文庫参照 1冊戯曲を小説化した『ブラックコーヒー』を含んでいます。) プラス中編1冊『ポアロとグリーンショアの阿房宮』
名探偵ポアロってどんな人 アガサ・クリスティーが生み出した有名な探偵
ベルギーから、戦時中イギリスに亡命してきた元警察官。身長約163㎝ 首を小鳥のように傾げ、灰色の脳細胞で事件を解決します。 おしゃれで、ピンとはねた口ひげがご自慢です。 無類いの几帳面さで、自分は世界一の名探偵と豪語する! こう書くと”なんか嫌なやつそう”と思われがちですが、作品を読んでいくうちに、頼りになるし、優しいし、可愛いらしくもあるので、知らない間にその魅力にハマってしまいます。
作品一言紹介
1『スタイルズ荘の怪事件』 ポアロ、ヘイスティングズ大尉デビュー作 2『ゴルフ場の殺人』 ヘイスティングズ大尉大活躍! 3『アクロイド殺し』 一番有名な被害者 4『ビッグ4』 ん?なんと言ったらよいか・・・ 敵は巨大 5『青列車の秘密』 最後に希望を乗せて汽車は走る 6『邪悪の家』 うーん、邪悪だね 7『エッジウエア卿の死』 アガサのだましのテクニック 8『オリエント急行の殺人』 『そして誰もいなくなった』に次ぐ代表作 9『三幕の殺人』 エッグてあだ名かわいいね 10『雲をつかむ死』 珍しい!密室殺人になっている 11『ABC殺人事件』 これぞ、ポアロ‼ 12『メソポタミアの殺人』 その人の名は美女「ルイーズ」 13『ひらいたトランプ』 これも、いわゆる密室だね 14『もの言えぬ証人』 鍵をにぎるのは、わんちゃん? 15『ナイルに死す』 雄大なナイルクルーズとともに 16『死との約束』 今回の旅の出発はエルサレム 17『ポアロのクリスマス』 血が! 18『杉の柩』 歳を重ねた方がわかる主人公の気持ち 19『愛国殺人』 歯医者さんはポアロも苦手 20『白昼の悪魔』 日の当たるところにも悪はあり 21『五匹の子豚』 そこに愛はあるんか 22『ホロー荘の殺人』 大人の物語 23『満潮に乗って』 イギリス社会が変わっていく 24『マギンティ夫人は死んだ』 マギンティ夫人は何を知ったのか 25『葬儀を終えて』 その一言が死を招く 26『ヒッコリー・ロードの殺人』 学生寮の不穏な空気 27『死者のあやまち』 ボート小屋にはご注意ください 28『鳩のなかの猫』 猫はだれ? 29『複数の時計』 時計が在り過ぎ 30『第三の女』 ポアロ、年取りすぎてると言われ、おこる 31『ハロウィーン・パーティ』 ちょっとこわい 32『像は忘れない』 せつなさと、愚かさが混じってる 33『カーテン』 ポアロ最後の事件 34『小説版 ブラックコーヒー』 コーヒーは苦い? 35『ポアロとグリーンショアの阿房宮』 『死者のあやまち』の原型だよ
キャラクター長編 ミス・マープル(分類2)
ミス・マープルシリーズ 12冊 (ハヤカワ文庫参照)
ミス・マープルってどんな人 素人のイギリス人探偵(初老の婦人)
ポアロは、ベルギーの人ですが、ミス・マープルはイギリス人で、セント・メアリ・ミード村に住む普通の(まあ、普通ではないんだけど)老婦人です。 村に長く住んでいるけれども、その並外れた観察眼と、豊富な知識により、犯罪を暴いていきます。 見かけは、ピンク色のほほをした、編み物と園芸が趣味の優しそうなおばあさんですが、いやなになに、そのするどさときたら!
『牧師館の殺人』でデビューですが、じつは短編集『火曜クラブ』で先にお披露目されています。 ポアロと対照的な設定になっていて、また別の魅力に富み、すっかりファンになってしまいます。 長編の数はポアロより少ないですが、アガサの生み出した探偵で人気を二分しています。
作品一言紹介
1『牧師館の殺人』 長編ミス・マープル最初の事件 2『書斎の死体』 物語の導入部分が妙に楽しい 3『動く指』 ロマンチックが止まらない 4『予告殺人』 予告どうりでしたねぇ 5『魔術の殺人』 うーん、不穏 6 『ポケットにライ麦を』 これぞ、ミス・マープルの真骨頂 7『パディントン発4時50分』 ルーシー・アイルズバロウ、恐るべし 8『鏡は横にひび割れて』 時代は流れ 心の底の悲しみが湧き出すとき 9『カリブ海の秘密』 復讐の女神現る 10『バートラムホテルにて』 英国のティータイム、素敵 11『復讐の女神』 再びの復讐の女神 12『スリーピング・マーダー』 過去に私が見たことは何?
キャラクター長編 トミーとタペンス(分類3)
トミーとタペンスのシリーズ 4冊 (ハヤカワ文庫参照)
トミーとタペンスってどんな人たち 可愛いカップル
トミーとタペンスは前述の二人と違い、本格派ミステリーではなく、冒険サスペンスミステリーという感じです。 元気な二人が、元気いっぱい活躍し、秘密を解いて事件を解決していきます。 また、この二人の特徴は、作品が発表されるごとに、それなりに年をとっていく実年齢に近い設定です。 ポアロとミス・マープルは活躍した年時と歳があいませんが、トミーとタペンスは、作品初登場が20代、最後が70代になっています。 長編4冊、短編集1冊と数は少ないですが、その好感の持てるキャラクターは、多くのアガサファンに愛されています。
作品一言紹介
1『秘密機関』 こんな事ないんだろうけど、トミ・タぺがかわいいから 2『NかMか』 熟年の魅力 3『親指のうずき』 まだ元気で謎を追う 4『運命の裏木戸』 本の中に隠された真実は、まだまだ元気に謎を追う二人
ノンキャラクター作品(分類4)
ノンキャラクター 18冊 (ハヤカワ文庫参照 自伝的作品、メアリ・ウエストマコツト除く)
どんな作品 バリエーションに富み、その魅力も様々
本格的ミステリーから冒険ミステリー、これは・・・ん?てものまで。 幅広い。 自分ではこの作品どうかな?て思うものが、別の方は好きだと褒めていたりするので、深いです。 お気に入りが必ずみつかるでしょう。 バラエティーに富み楽しめるシリーズ。 詩集も含まれています。
作品一言紹介
1『茶色い服の男』 すごい行動力 どこまでいくの? 2『チムニーズ館の秘密』 確かに、きれいな名前 3『七つの時計』 ほんのいたずらのつもりが 4『シタフォードの秘密』 雪の山荘 5『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』 エヴァンズって誰? 6『殺人は容易だ』 心のなかの闇がこわい 7『そして誰もいなくなった』 アガサ・クリスティーの代表作 8『ゼロ時間へ』 ゼロ時間になったら、どうなる? 9『死が最後にやってくる』 舞台はエジプト 10『忘られぬ死』 ローズマリーの花言葉 11『ねじれた家』 本当にねじれた心を持つ人は誰? 12『バグダッドの秘密』 ん? 国際的な陰謀? 13『死への旅』 ん? 秘密組織? 14『無実はさいなむ』 せっかく知らせに来てあげたのにね 15『青ざめた馬』 エスプレッソマシーンの音から不吉 16『終わりなき夜に生れつく』 悲しみをまとって 17『フランクフルトへの乗客』 ん?こ、これは? 18『ベツレヘムの星』 詩集だよ
メアリ・ウエストマコット作品(分類5)
メアリ・ウエストマコット 6冊(ハヤカワ文庫参照)
どんな作品 アガサならではの感性で、こころの深層を描く
メアリ・ウエストマコットは、アガサが世間からミステリー作家アガサ・クリスティーということを隠して書いていた、ロマンス小説のペンネームです。 ロマンス小説というとあまーい感じを思い浮かべますが、人間の深層にせまる、ミステリーの時とはまた違った考えさせられる作品群です。
ハヤカワ文庫では、ノンキャラクター作品のなかに一緒に入っています。 ミステリーではないので、ご注意ください。
作品一言紹介
1『愛の旋律』 アガサの自伝的作品と言われています 2『未完の肖像』 アガサの自伝的作品 3『春にして君を離れ』 自分自身の本当の姿とは 4『暗い抱擁』 愛するということ、人を救うということの意味 5『娘は娘』 親子で、あればこそ 6『愛の重さ』 確かに「愛」は
短編集(分類6) (ハヤカワ文庫参照 ポアロ、ミス・マープル含む)
短編集 14冊 (ハヤカワ文庫参照)
どんな作品 バリエーションに富み、その魅力も様々
ポアロとミス・マープルはもちろん、トミーとタペンスものがあります。 また『死の猟犬』などちょっとこわいオカルトチックなものから、短編集にしか出てこない 『謎のクィン氏』 『パーカー・パイン登場』が含まれています。
ハリイ・クィンとは (題名どうりの謎の人物)
短編集『謎のクイン氏』(あと2作品 別の短編集『愛の探偵たち』『マン島の黄金』 に入っています。 事件が起こると、また起こりそうなときに、不思議とサタースウエイト氏という人物の前に突然あらわれ、事件解決のヒントを与えます。 自身が探偵役をすることはありません。 その風貌がまた変わっていて、光の加減などにより道化師のようにみえる不思議な人物です。
パーカー・パインとは (頼りになる人生アドバイザー)
短編集『パーカー・パイン登場』に登場です。他に『黄色いアイリス』にも入っています。
元お役所勤めで統計収集の仕事をしていたが、退職後「あなたは幸せですか?」という広告をだし、悩み相談アドバイザーを開業します。 体格がよく、頭は禿頭で、度の強いメガネをかけています。 見るからに人の好さそうな雰囲気。アガサ・クリスティーのお気に入りのキャラクター。 そんな設定のためか、温かい物語が多く展開します。
作品一言紹介
1『ポアロ登場』 ポアロとヘイスティングズ大尉 ホームズ、ワトスン博士? 2『おしどり探偵』 トミーとタペンスがかわいい 3『謎のクィン氏』 ハリイ・クィンに魅せられる 4『火曜クラブ』 ミス・マープルの短編集 おもしろいよ 5『死の猟犬』 ちょっとこわい (ノンキャラ) 6『リスタデール卿の謎』 ミルクチョコレートの味わい (ノンキャラ) 7『パーカー・パイン登場』 存在感抜群のパーカー・パイン 8『死人の鏡』 ポアロもの4編 安定感のあるポアロの活躍 9『黄色いアイリス』 ポアロ、ミス・マープル、パーカー・パイン他、盛沢山 10『ヘラクレスの冒険』 ポアロのバリエーション豊かな冒険 11『愛の探偵たち』 ポアロ、ミス・マープル、ハリイ・クィン他、盛沢山 12『教会で死んだ男』 ポアロ、ミス・マープル、他 13『クリスマス・プディングの冒険』 表題の短編がお気に入り ポアロ、ミス・マープル、 14『マン島の冒険』 表題は宝探しの懸賞小説 ポアロ、ハリイ・クィン他
戯曲(分類7)
⑤ 戯曲 7冊(ハヤカワ文庫参照)また他にも2冊あり
アガサは芝居好きです。
アガサは、1929年くらいから自身で戯曲を書き始めます。 ロングランの芝居「ねずみとり」は有名ですが、「検察側の証人」など傑作のもあります。 その他の作品も、読んでみるとこんなに面白いんだとびっくりします。
1『ブラックコーヒー』 コーヒーは苦い? 2『ねずみとり』 今もロングランを続けているお芝居 3『検察側の証人』 戯曲の最高傑作 4『蜘蛛の巣』 彼女はアガサ? 5『招かざる客』 誰?この人 6『海浜の午後』 ひねりが効いてて面白い 7『アクナーテン』 エジプト ロマンチックだね 8『殺人をもう一度』 『五匹の子豚』の戯曲 (光文社文庫) 9『そして誰もいなくなった』 『そして誰もいなくなった』の戯曲(新水社)
自伝および作品(分類8)
自伝およびその他 3冊 (ハヤカワ文庫参照)
アガサその人に興味を持っている方は、『アガサ・クリスティー自伝』やマックス・マローワンと一緒に発掘調査の様子を描いた『さあ、あなたの暮らしぶり話して』などがあります。 どちらも堅苦しくなく、読めます。
1『自伝』上下 2『さあ、あなたの暮らしぶりを話して』 みんなが聞いたらしい。どうやって過ごしているの? 3『アガサ・クリスティーの秘密ノート』アガサのメモをまとめたもの(ジョン・カラン編) 3はネタバレ注意
まとめ
作品を、8分類し、一言紹介を付けました。 アガサ・クリスティーの作品群の大まかなグループ分けが参考になれば、うれしいです。 こうして、あらためて全体を眺めてみると、その作品数に圧倒され、アガサ・クリスティーのバイタリティーには恐れ入るばかりです。 また、著した作品がほぼすべて、今もなお出版され続けていること、しかも人気を得ていること、もう言葉がみつかりません。
アガサ・クリスティーのファンとして、このブログをきっかけにして興味を持っていただけると幸いです。
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